コンクリートaiサロン | 2026年4月
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「点検」の楽しみ
渡邉 弘子
業務で本格的に橋梁点検に携わるようになって数年経ちます。それまでは、点検業務よりも診断業務が多かったのですが、点検を始めてから、点検ならではの楽しさを知りました。初めて知ることも多く、診断のためにも勉強になっています。
その中で感じるのは「お洒落な橋ほど手が掛かる」ということです。「お洒落な橋」と言われて何を思い浮かべるでしょうか。例えばローマの水道橋。3階建ての美しい石橋です。スイスにあるザルギナトーベル橋も無駄のないスレンダーな形で、3ヒンジコンクリートアーチ橋の傑作として有名です。我が国にも世界に誇る錦帯橋があります。

しかし、これらの橋を点検者の目で見ると頭を悩ませます。ローマ人は「インフラは造ることよりも維持することの方が重要である」と理解しており、水道橋にはそのための仕組みを整えていたと言います。しかし、「水道」ではなく「橋」として考えた時、構造部材の安全性をどうやって点検したら良いでしょう。アーチ橋でいちばん大切な要石に、近接目視や打音検査のために近寄ることができません。ザルギナトーベル橋は、8トン以下の小型軽量の高所作業車は載るようですが、それでは桁下を見ることができません。錦帯橋は、前回の定期点検では吊り足場を架けていました。
現代ですのでUAVやポールカメラ、ロープアクセスなども選べますし、これらの機能美3橋について文句を言っているのではないので誤解しないでください。私が直面している「お洒落な橋」というのは、多くはバブル期に建設された「無駄にお洒落で重厚な橋」です。親柱がやけに意匠的だったり装飾部材が多かったり、部材同士が干渉し合ったり人が入れない点検口があったりします。そして、点検しにくい橋は診断もしにくく、維持管理にもお金がかかります。インフラに関してだけは、「手が掛かる子ほど可愛い」とは言えなさそうです。
今では、道路橋や水管橋を見ると「どうやって点検しようかな」と思うようになりました。「点検車は載るけど、トラスの間にアームを通すのが大変そうだ」「フロートに昇降足場を載せて、川面からアクセスしてみようか」「人口密集地だけどUAVが良さそう」「岸から望遠レンズで撮影する手もあるけど正対が難しいよな」「ここでロープアクセスを使ってみたいなあ」などと勝手に想像して楽しんでいます。興味で取っただけだった道路橋点検士の資格も役立つようにもなりました。点検できる診断士&診断できる点検士を目指しています。




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