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コンクリートaiサロン|2025年12月

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    admin
  • 1 日前
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3DCP技術の社会実装に向けて


西脇 智哉


 建設業界の「2024年問題」が避けられない現実となって、現場の省人化・生産性向上は待ったなしの状況にあります。4週8閉所の現場も珍しくない状況になるのも近いかも知れません。昨年のコラムで取り上げたコンクリート3Dプリンティング(3DCP)は、省力化にも大きな効果があると考えています。この日進月歩の技術は、ここ1年でも取り巻く環境を含めて大きく動き出しました。国内でも、今年8月に土木学会が「建設用3Dプリント埋設型枠を用いたコンクリート構造物の技術指針(案)」を発刊しました。これは、構造計画から設計、製造、施工、品質管理、検査、維持管理に至るまで幅広く網羅したものです。また、日本建築学会でも、「建設3Dプリンティング建築物の生産・施工に関する研究小委員会」が筆者を主査として設置されました。こちらでは、土木学会指針では余り意識されないような、建築ならではの意匠性を活かした非構造部材への適用について検討を始めています。

 さらに、筆者の研究室でも今年6月、ついにコンクリート3Dプリンタを導入しました。実際に学生らが自分の手で機器を動かして積層を繰り返す中で、改めてデジタル技術とアナログな材料挙動をすり合わせる難しさを感じると同時に、造形の自由度や面白さを肌で感じています。実際のモノづくりを通して得られるデータで、今後の技術開発に繋げていきたいと考えています。

 地域との連携についても、2025年11月には日本コンクリート工学会東北支部主催の『コンクリート診断技術研鑽のための勉強会』にて、実験室で実際に機器が稼働する様子をご覧いただきました。また、2026年2月には、日本建築学会東北支部・材料施工部会の企画として、同様に実験室にお越しいただくことを予定しています。宮城県をはじめとした地域の皆様に、実際に技術を見ていただき、「こんなことができそうだ」といった忌憚のないご意見やアイデアをいただければ幸いです。

 「新しい技術」を「信頼できる技術」へと昇華させるためには、実験室での泥臭い試行錯誤と、学会レベルでの体系的なルール作りの両輪が必要と考えています。今後もこの両面からアプローチを続け、宮城の地から日本の建設技術の未来に貢献できるような情報を発信していきたいと考えています。

導入した3CDP(冠力社製・中国)
導入した3CDP(冠力社製・中国)


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宮城県コンクリート診断士会

Miyagi Society of Concrete Diagnosis and Maintenance Engineers

【お問い合わせ】
事務局:鈴木 勝浩
   (株式会社 復建技術コンサルタント
​メール:info@miyagi-cd.com
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