鉄筋コンクリート造建物の行く末
高橋 学
竣工後40年以上経過したRC造集合住宅の躯体コンクリートの劣化調査を手掛け,躯体から採取したコアを使った圧縮強度試験と中性化深さ測定(フェノールフタレイン法)を実施しました。
コンクリートは十分な強度を有し,中性化深さはかぶり厚さに達しておらず十分な余裕があることが判明し,結果からだけならコンクリートに有害な劣化は見られず依然使用可能と思われました。
しかしながら,40年以上前からの住宅であることから,間取りは今日の生活スタイルに合っておらず,設備配管の老朽化は進んでおり,外観も時代遅れの感が否めません。また,法定耐用年数も間近であり不動産としての価値も低く,利益を得られるだけの賃料で入居者を募って資産運用していくのは難しいと思われました。
そうなると,オーナーとしては初期投資は嵩むものの長期的に見れば流行の住宅に建替え多くの入居者を得る方がメリットがあるのかもしれません。
永久に存続できず,いずれは解体が避けられないのであれば,せめて計画時点で供用期限に見合う材料選択による効率的なコストや解体材の有効利用に配慮するなど経済や環境への負荷軽減に配慮した設計が今後はもっと意識されてもいいのかもしれません。
Comentarios