役員の部屋|2021年4月

更新日:6月22日


NOT let JAPAN in RUINS


 渡邉 弘子




 2021年度の新年度が始まりました。東日本大震災からちょうど10年目、2月13日夜半の震度6強、3月20日夕刻の震度5強と続く地震には、備えの大切さを思い出させられました。その節目の10年を越え、次の時代へ向けて歩き出す年です。新たにそんな気持ちにさせられる、ある事柄に気づきました。

 下図を見てください。建設年代ごとの橋梁数をあらわしたもので、上が米国、下が日本です。

 米国は1930年代、ニューディール政策により大規模なインフラの整備を始めました(上図青色部分)。しかし、深刻な不況に見舞われた1970年代、道路の維持管理に十分な予算が投入されず(上図緑色部分)多くの道路施設が老朽化し、その結果、1981年に有名な『荒廃するアメリカ(AMERICA in RUINS)』が出版されました(上図赤線)。

 

 日本では主として1960年代、高度経済成長期にインフラ整備が大規模に進められました(下図青色部分)。そして、民主党政権時代の2010年を中心に、公共事業費が2割削減されました*)(下図緑色部分)。どちらも米国の30~40年ほど後を追っています。その計算でいくと、日本は早ければ2011年、遅くとも2021年に「荒廃する日本」を迎えることになるのです(下図赤線)。

 2011年の東日本大震災は天災であると同時に、社会インフラの維持管理に対する認識の甘さに起因する人災でもありました。2012年の笹子トンネル天井板落下事故も記憶に新しいですし、その後のインフラ老朽化の深刻さは皆さんもご存知のとおりです。そして、今年は『荒廃するアメリカ』からちょうど40年目にあたる2021年です。日本を荒廃させることのないよう、このことを肝に銘じ、コンクリート診断士の一人として尽力していきたいと思います。


*)公共工事費削減は民主党政権時代だけの話ではありませんが、その理由が福祉予算による圧迫であった米国と、当時の日本の政権の「コンクリートから人へ」のキャッチコピーとの相関性を感じてここに挙げました。少し意図的であることを申し述べておきます。