東日本大震災とコンクリート構造物
國吉 慎一
未曽有の被害をもたらした東日本大震災からまもなく10年、東北地方の太平洋沿岸は津波の壊滅的な被害から立ち上がり復興道路や防波堤整備など社会資本の整備等はほぼ終了しようとしております。
震災直後より社内に於きましても支社長を中心とした、緊急対応プロジェクトチームなるものを設立し、日夜施主との打合せ及び応急復旧工事等に従事したことで、橋梁上部工や支承部の破壊、コンクリート橋脚の曲げ破壊やせん断破壊など多くの道路構造物や鉄道構造物の被害を目のあたりにし、大きなショックを受けたことが思い出されます。
各被災調査により明らかとなったことは、マグニチュード9.0、最大震度7.0を観測する巨大地震ではあったが、地震動そのものによる土木構造物の損傷程度は、阪神・淡路大震災に比べると軽微であったものと報じられておりました。 このことは、現行基準及び耐震補強の妥当性が確認されたものと思われましたが、古い設計基準で施工された構造物や耐震補強対策が施されていない構造物に対しては、早急な耐震診断および耐震補強等を推進していくことが重要であるものと考えます。 また、今回の大震災による津波から可能な限り人の命を守ったコンクリート構造物の存在を忘れることができません。 コンクリート診断士制度規則に、「診断技術の向上をはかり、社会基盤の整備に寄与することを目的とする」と書かれております。 私たちコンクリート診断士は、技術力のみならず社会的な信頼に応じられよう、今後更なる研鑽を積んでいかなければならないと考えます。
以上
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