想定外への備え
羽柴 俊明
8月4日(日)19時23分、皆さんは何をしていらっしゃいましたか?日曜日の夜ということもあり、一家団欒の時間を過ごしていた方、楽天生命パークで野球観戦をしていた方、中には仕事をされていた方もいらっしゃったかと思います。私は、通常の日曜日にしては遅い夕食の買い物に出かけていました。その時、何度聞いても聞きなれない緊急地震速報の音と共に、スーパーの陳列棚がガシャガシャと音を立てながら揺れているのを目の当たりにしました。6月18日には山形県沖を震源とする地震が発生し、観測史上初めて山形県内で震度6以上の揺れが観測され、また熊本や北海道等でも引き続き大きな地震が続いています。
このような状況の中、防災の日に合わせ職場にて防災訓練を実施しました。訓練は様々なシナリオに基づき、発生する災害を想定し対応していく形式でした。東日本大震災では「想定外」の災害が発生し多くの被害をもたらしました。また、最近は「これまでに経験したことのない大雨」「数十年に一度の大雨」「観測史上1位の最大瞬間風速」等の言葉を聞くことは珍しくなく、「想定外」の災害が多数発生しています。しかし、訓練の中では何れも過去に経験しているような「想定内」の災害ばかりが挙がりました。「想定内」の災害に対しいかに迅速に対応できるかというのも当然必要になります。ただ、今後いつ発生するかわからない「想定外」の災害に対応するためには、常識にとらわれず幅広い視野を持ち「想定外」のことが起きることを想像し、「想定内」にして行けるよう訓練していくことが必要だと改めて感じました。
これは、コンクリート構造物の診断においても同じことが言えると思っています。初めて見る変状に遭遇した場合でも、過去の事例や常識だけにとらわれず、様々な視点で変状と向き合い診断できる力を養う。そして、適切な対応をしていくことが大切であると。そのためにも日頃から疑問を持ち少しでも「想定外」を減らせるようコンクリート構造物を見ていきたいと思います。
最後になりますが、今年度のコンクリート診断士試験の合格者が発表されました。皆さんの周りで合格された方がいらっしゃいましたら、ぜひ宮城県コンクリート診断士会への入会を勧めていただければと思います。よろしくお願いいたします。
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