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コンクリートaiサロン|2023年10月



コンクリート構造物のメンテナンスについて


   山口 雅史


 

 今現在、各地でコンクリート構造物のメンテナンス工事が進められているわけだが、それが完了するためには膨大な量の社会資本ストックがある。橋梁に限って言えば70万橋以上が存在し、次のメンテナンスを受ける順番を待っているような状況である。

 

 メンテナンス工事では、何が大変か?例えば、図面通りにいかないこと、あるいは施工の順番があること、はたまた交通開放しながらの施工等々の困難なポイントがある。

 しかし、よく考えてみるとコンクリート構造物の診断を行い、いざ補修工事を行うとなった際にどうしても必要になる作業がある。そう、コンクリート一時撤去のための”はつ(斫)り”工である。

 “斫”とは石を斧で切るといった語源の説もあるようである・・・。(Wikipediaより)実際の作業としては、手工具であるタガネに始まり、電動ピック、空圧ブレーカー、油圧ジャンボブレーカーまでが存在する。近年ではウォータージェットによるものも多い。この斫り工がなかなか大変であり、非常にボリュームもある工種となる。

 

 ところで、じゃあ世の中に何㎥ぐらいコンクリートがあるのか?という疑問もでてくるが、流行りのAIチャットに聞くと全世界年間製造分で14億m³ということである。

 ここで思い出すのだが、昔先輩が言ったことがある。“コンクリートが溶ける薬を開発すればノーベル賞ものだ!!”以前に聞いたときにはそうかな?という程度であったが、今になってみて、非常に的を得ている発言だったと思う。

 確かに大規模なコンクリート構造物に液体を降りかけて、モルタル流体と鉄筋にでも分かれてくれたら、さぞかし施工は楽になるかと思われる。塩害も凍害もASRもいったん溶かして再構築出来たらどんなに良いことか・・・。それは、”人類が輩出した二酸化炭素を全部吸ってくれる植物が欲しい”と言うぐらい夢物語かもしれません。

 

 ただいずれにしても、そうはいかない。やはりより耐久性の良いコンクリートへのトライ、明確な診断手法の確立、さらなるメンテナンス工法の開発実践が必要になってくるのですね。

 社会資本を良好な状態に保つためには、今後も新たな努力を続けていかなければと改めて思います。

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