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コンクリートaiサロン|2022年6月


「漏水談話」


  武田 三弘



 

 昨年のことである。本学多賀城キャンパスの管財係から、コンクリート実験室で大量の水を使用していないかとの問い合わせがあった。1ヶ月数トン近く消費しているようで、どのようなことに水を使用しているのかとの問い合わせであった。思い当たる点としては、学生実験において骨材を洗ったときか、コンクリートを練り混ぜた後の洗い作業での使用であるが、さすがにそのような大量の水は使用していない。その時はうちとは関係ないだろうと回答して終わった。しかし、翌月も大量の水の使用が続いたことから、漏水の可能性が疑われることになり、私もそのことが気になりコンクリート実験室周りを調査してみた。すると、何気に周囲の一部が陥没しているではないか!同時に使っていない実験室内の床が濡れており、水溜まりも見られた。もしかしてと思い、コンクリート実験室の水道管に耳を当てて音を聴いたところ、水を使用していないにもかかわらず水が流れる音が聞こえた。すぐに、実験室と繫がっている水道管の詮を閉鎖したところ、大量の水の消費は無くなり、原因は漏水であることがわかった。漏水の原因としては、コンクリート実験室が出来てからは既に55年以上経過していることから水道管の腐食か、地震による破損が考えられた。

 

 そう言えば、2022年5月17日に発生した愛知県豊田市水源町にある「明治用水頭首工」の漏水により、工業用水が取得できず大きな問題となっていた。東海農政局によると「漏水の原因は今後調査をしないと分からないが、最後の整備から40年近く使われてきた施設なので、老朽化は原因の一つとして考えられる」と伝えていたが、その後、「川底にあるコンクリートが破損したことが原因」という報道を耳にした。漏水への対応は地下と言うこともあり大変手間暇がかかる。本来ならば事前に点検をして腐食や劣化度合いに応じて定期的に修繕・交換するような予防保全が理想であるが、地下の状況を目視点検なみに実施することは難しいため、結果的には事後保全になることが多くならざるを得ない状況である。橋梁の5年に一度の目視点検は順調に実施されているが、今後は、地下構造物・埋設物に対する点検を強化していく必要性を強く感じている。コンクリート診断士として、地下コンクリートの診断を行うことが増えてきそうである。

 

 先日、ゴルフ場の漏水工事を担当している私の友人から、塩ビ管の繋ぎ目から勢いよく水が噴き出している動画を見せられたが、ゴルフをしながらも足下の漏水が気になってしまい、スコアーが全く伸びない状況が続いている。

 


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