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コンクリートaiサロン | 2025年7月

  • 執筆者の写真: admin
    admin
  • 8月8日
  • 読了時間: 3分
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「自己治癒コンクリート」が普及したら、ひび割れ診断はどうなるの?



  大山 浩一

 バクテリアの代謝機能によって、コンクリート自体が表面に発生したひび割れを自動修復するコンクリートが開発されている。これを「自己治癒コンクリート」といい、コンクリート中に「バジリスク」という栄養を付加したバクテリアを混入すると、発生した最大1mm程度までのひび割れを修復して閉塞させるため、内部の鉄筋腐食を防止することができるというものである。これは曾澤高圧コンクリート社が世界で初めて実用化に成功した技術である。

 この技術は、まず、バクテリアを乾燥状態にして休眠させ、栄養源となるポリ乳酸と共に顆粒にしたものを、フレッシュコンクリートに混入(1m3当り5kg使用だそうです)して練り混ぜを行い、コンクリート全体に分散させる。そうすると、栄養源のポリ乳酸が分解して乳酸カルシウムに変化する。一方で、これを栄養としてひび割れ発生時に活躍するバクテリアは、コンクリート中の強アルカリによって休眠状態を保持する。次に、コンクリート硬化後劣化によりひび割れが生じると、そこから侵入する雨水や酸素によってバクテリアが乾燥状態から解き放たれ目を覚ます。と、同時にひび割れ表面のpHが下がるとバクテリアが活動を始め、コンクリート内部に侵入する酸素を取り込んでひび割れの表面で分裂と増殖を繰り返し、乳酸カルシウムと酸素を摂取しながら炭酸カルシウムを排出してひび割れを修復していく。修復に要する期間は約6週間程度で、ひび割れが完全に修復されるとバクテリアは水分や酸素の供給が断たれるため、再び休眠状態に入り次のひび割れ発生に備える、というものである。

 そこで、もし今後世界中のコンクリートに「バジリスク」が採用されたとしたら、微細なひび割れの診断はどうなるのか?ひび割れが発生しても自動修復されるのなら、将来的に微細なひび割れの診断を行うことがなくなってしまうのではないか?と、ふと思ったのである。

 そこで、Copilotに聞いたら、以下のような回答が返ってきたのです。

【従来の「ひび割れの有無と補修要否の判断」から、「自然治癒機能の評価やモニタリング」へと役割がシフトする可能性がある。例えば、自然治癒の進行状況を定量的に評価する技術(再水和反応の深さや炭酸カルシウム析出量など)、自然治癒が機能しない場合の早期警告システムの構築、自然治癒型材料の品質管理や施工後の性能確認、などが診断士の仕事になりうる。また、自然治癒コンクリートの登場は診断士の仕事を「減らす」のではなく「高度化」させる可能性が高い。医療が進化しても医師の役割がなくならないように、診断士もコンクリート技術の発展に伴って進化する存在である】、と。

 「自己治癒コンクリート」の他に、近年カーボンニュートラルの時代に突入し、様々な新しい低炭素コンクリートが開発されており、これまでと違った特徴の劣化や変状が現れる可能性もゼロではないと考えられる。Copilotの返答のように、我々コンクリート診断士は、これまで以上に研鑽を重ねて発展するコンクリート技術に遅れないように、我々自身も日々進化していかなければならない、とあらためて思った次第です。

 
 
 

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   (株式会社 復建技術コンサルタント
​メール:info@miyagi-cd.com
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