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役員の部屋|2018年5月


温故知新「電力ビル(仙台市)」


高橋 学



 

 新年度も約1か月を過ぎ,皆様におかれましては新しい仕事も順調に軌道に乗り始めた時期ではないかとご推察申し上げます。

 私自身はといえば,約30年前に入社した時と同じビルで現在も勤務していることに改めて年月の移り変わりに感じ入っている次第です。

 そのビルとは仙台の方で年輩の方ならご存知の方も多い「電力ビル」です。

 

 電力ビルは昭和35年北日本では最大のビルとして建築され,当時の仙台ではあたりを圧してひときわ高くそびえ立つランドマーク的存在となっていたようです。電力ビルがある東二番町通りのスカイラインは電力ビルに合わすようにしていた時代もあったとか。

 しかしながら寄る年波にはさすがに勝てず,設備の老朽化等が目立つようになり平成14年リニューアルを行いバリアフリー化や耐震補強,施設の近代化がなされました。

 その甲斐あってか,平成23年東日本大震災では軽微な被害で済み,また,補修工事後に実施した劣化診断ではコンクリートの中性化についても問題なく密実で良質なコンクリートであることが判明したとのことです。

 

 私自身は現在はもちろんリニューアル前の築後25年経過していた時(新入社員時)に勤務していた時でさえ建築的に不自由な思いをしたという記憶は思い当たりません。

 建築当時はよほどの近代的なビルだったのかもしれません。安易なスクラップアンドビルドが疑問視されることもありますが,建築時に長期的な視点で適切な規模,プランニング,構造,設備等を選択することが建物を長く使用できる秘訣なのかもしれません。

 単なるオフィスビルとしてだけでなく,コンサートなどもできるホールを持ち,バス停留所に面していることもあり1階のロビーは待ち合わせ場所としても利用され,同じく1階の通路は東二番町通りから繁華街である一番町へ抜けられる便利な通路として,仙台市民の生活に深く密着している建物となっているのではないかと思います。

 これからもまだまだ活躍して仙台の歴史を見つめて行ってもらいたい建物の一つです。










現在の電力ビル                 (今となっては格別目立っては

       いませんが・・・)

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