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会長の部屋(2015.9.1)

更新日:2021年6月11日




軍艦島が教えてくれること


渡辺 弘子

 

 今年6月に長崎で開催された「International Conference on the Regeneration and Conservation of Concrete Structures (コンクリート構造物の再生と保存に関する国際会議)」に参加し,テクニカルツアー先の軍艦島へ初めて行きました。


 軍艦島(端島)は世界遺産にも登録されてご存知の方が多いと思いますが,今回は国際会議のテクニカルツアーのため,通常は入れない島内部まで入ることができました。せっかくですので,島内の状況をご報告します。ただし,写真の引用はご遠慮ください。


 初めて見た私の全体的な印象から言うと,「壊れているのに壊れない」でした。鉄筋がなくなっても, RC構造物って意外ともつんですね。長崎市の検討委員会は保存管理計画案で「劣化の進行を抑制する。技術的に保存困難な建物は特別な措置は施さない。」と言っています。私も,損傷をなおしたり,梁などの部材を取り換えたりしたら意味がないと思います。


 これから先,人口減少や公共投資額の減少で,維持できなくなる構造物が日本中に増えていくでしょう。なおすにも壊すにもお金がかかる。それらをどうすべきかの答えは,現在の私たちにはありません。軍艦島で少しずつ崩壊していく構造物群が,それらの答えの一端を私たちに示してくれることを期待したいと思っています。


 なお,コンクリートテクノ8月号に同じような内容を書きましたが,写真はこちらが豊富です。

(1)海上から見た軍艦島全景










(2)意外にも生物あふれる熱帯の島


(3)我が国初の屋上緑化





(4)007の映画のイメージにもなった建物














(5)RCには過酷な環境,それでも建物が崩壊しないのは何故?

   1916年竣工の我が国初のRCアパート(当初は4階建て)



洗掘されてなくなった地盤と杭


(6)とはいえ無くなっていく部分(部材)もある

   体育館の天井は今年落ちたらしい













2011年8月には崩落の気配なし   2014年6月にはちょっと凹んだ

                  ※パネルを撮影したので映り込みしてます


ここの天井もヤバイ


ベルトコンベアは柱のみ


(7)往時の生活を偲ばせる洗濯機やテレビ












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