インフラ雑感
近藤 克巳
今年は、全国的に梅雨明けがあまりに早かったので、個人的には水不足になるのでは?と少しだけ心配しましたが、決してそんなことはなく、今年も7、8月と全国各地で大雨になりました。そのたびに家屋やインフラが損なわれる被害が発生しています。これも例年通りなのでしょうか。
一方で、愛知県の頭首工の漏水事故など、今年もインフラの事故が起こっています。
これらによりご苦労されている方々の報道が尽きません。
自然災害等への対応として国が進めている国土強靭化計画には、インフラの老朽化対策も含まれています。
インフラについては、令和3(2021)年6月に「国土交通省インフラ長寿命化計画(行動計画) 令和3年度~7年度(第2次計画)」が策定されています。これは、平成30(2018)年12月に見直された「国土強靭化基本計画」も踏まえているようです。
今回あらためて、この「インフラ長寿命化計画(行動計画)」の2次計画を見てみました。
予防保全への本格転換や新技術の導入促進といった技術的な内容に加えて、集約・再編といった考え方にも踏み込んでおり、考えさせられることがありました。
集約・再編として、「将来の人口減少等の社会情勢の変化を踏まえるとともに、まちづくり計画等との整合性も図りつつ、必要性のなくなったインフラの集約・撤去や、利用者ニーズに沿ったインフラの再編・複合化・機能転換を図」って、「インフラストックの適正化を進める」と記述されています。
さまざま議論がなされるとは思いますが、切り捨てるものが出てくるということだと思います。ある意味致し方ない考え方とは思いますが、インフラが生活に直接影響を与えるものであることを考えると、ゆくゆくは生活のあり方も考えていく必要があるのかもしれないと感じました。
また、「今後、老朽化したインフラが増加することを踏まえれば、国民にも一定の役割を期待することが必要であり、インフラの現状や老朽化対策の必要性に関する国民等の利用者の理解や協働を促進する取組が不可欠である。」との記述もあり、国民ひとりひとりが協力することも必要になってくると思われます。
インフラとは、例えば広辞苑(第6版)では、「産業や社会生活の基盤となる施設。道路・鉄道・港湾・ダムなど産業基盤の社会資本、および学校・病院・公園・社会福祉施設等の生活関連の社会資本など。」とされています。
この説明では、インフラは公(あるいは公に近い事業者)が担うものというイメージですが、もともとは個人あるいは数人の集団が生活に必要なものとして整えていったものではないでしょうか。
7、8月の大雨と行政の取り組み姿勢から、あらためてインフラが生活を支えていることを認識し、技術者として、また一市民として、できることは何かを考え、取り組んでいく必要があるとあらためて感じた次第です。
Comments