「レガシーを活かす」
桑原 徹
パリオリンピックが7月26日から開催され、連日熱戦が繰り広げられています。今大会では1889年に開業したエッフェル塔をシンボルとしただけでなく、競技場も1682年にブルボン朝ルイ14世の宮殿であったベルサイユ宮殿を近代五種と馬術の会場に、皇帝ナポレオンの棺が置かれているアンバリッド(廃兵院)ではアーチェリー、1900年万国博覧会に設置されたグラン・パレがフェンシングとテコンドーの会場となっており、レガシーを上手に活かしているなと感じるところです。
話は変わり半年ほど前ですが、所属している団体の技術講習会で「地方自治体の悩み事・困り事 インフラメンテナンス国民会議東北フォーラム活動6年」と題した講演を拝聴することがありました。
これまでも地方自体体の抱える問題点として財政や技術者不足が叫ばれていましたが、より具体的に示されたていました。
各自治体へのニーズに関するアンケートで、工種別ニーズでは「点検・調査・診断」と「設計・計画・積算」を合わせ58%、対応別ニーズでは「最新技術・新材料や新工法、データ管理」が63%、工程段階のニーズでは「点検診断」と「措置(設計・発注・工事)」併せて59%との結果が表れていました。
日本では高度経済成長期から急ピッチでインフラ整備がなされバブル崩壊後も紆余曲折ありながら整備され、今に至っています。日本がバブル崩壊後の“失われた30年”でも沈まずにいられる要因の一つとして、インフラが一定程度整備され、それを享受できているからとの見方もあるようです。
今後もインフラコンクリート構造物を長期に亘り供用していくため、上記の各自治体のニーズを踏まえると、コンクリート診断士の役割の大きさを改めて感じた講習会でした。
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