パイルベント方式の下部工に思う!
國吉 慎一
最近受注しております、橋梁詳細調査・補修設計業務に於きまして、下部工がパイルベント方式の橋台及び橋脚が目に付くようになりました。
(何を隠そう、最近比較的大きな橋の業務が受注できていないのが、原因の一つでは!?)
パイルベント方式下部工(橋脚・橋台)は、鋼管またはコンクリート製の基礎杭を支持地盤まで打ち込み、杭を沓座付近まで立ち上げ、杭の頭部を鉄筋コンクリート等の横梁で結合した形式とする構造です。
昭和30年~40年代にかけて経済性、施工性さらに河川阻害率が小さいことから、中小規模の橋梁基礎として全国各地で構築されておりました。しかし、通常の基礎杭に比べれば、耐力、剛性が小さく、耐震性等に問題がある構造と指摘され、現在は河川管理施設等構造令に於きまして、原則禁止され、以降の架設は少なくはなりましたが、それ以前に建設されたものが、数多く現存しております。
下図の写真は、当社が受注致しました詳細調査・補修設計の一つで、ある自治体が管理している用・排水路に架設された橋梁のパイルベント方式橋台の現況です。
ほとんどの杭基礎(見えている部分)に、有害性のあるひび割れが発生しており、地震等による外力および当初設計で考えていた断面力より大きな力がパイルベント杭頭部や本体に作用したものと推測されました。
結果、当該現場に於きましては、現地の損傷調査結果及び施主側の意向等も考慮致し、C-BOXによる架替えの設計を行い、昨年度架替えによる施工を完了しております。
しかし、パイルベントを有する橋梁は、現在でも数多く供用され、同様の損傷が確認されております。
今後、同様な形式の中小規模の道路橋および農道橋等の補修設計・補修工事等に携わる
ことが増えてくる事と思われますが、橋梁の重要度に応じた補修・補強方針及び架替え方
針を考えていくことが、私たち補修設計技術者及び施工技術者に求められると考えます。
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