コンクリートaiサロン|2022年3月


インフラ老朽化


鈴木 勝浩


 

 今年度も残り僅かとなり、改めて1年を振り返ると印象深かったのが、インフラ老朽化による事故報告である。

 2021年10月3日午後4時ごろ、和歌山市を流れる紀の川に架かる水管橋が長さ約60mにわたって崩落した。川の南側の浄水場から北側の配水池に水道水を送る送水管が破断し、川の北側にある市内約6万世帯で1週間程度の断水が発生した。

 落橋したのは、ランガ―補剛形式と呼ばれるアーチ橋で、送水管を兼ねる補剛桁とアーチ部材を結ぶ吊材が腐食により破断し、構造的なバランスが崩れた結果の落橋であった。吊材が1本破断しただけでは、落橋までに至るとは考え難く、複数本破断したために落橋したのではないだろうか。崩落した瞬間の動画が残っており、ショッキングな内容であった。

 施設管理者によると、数年前に耐震補強工事が実施され、大規模地震が発生しても送水機能は確保できる状況であると考えていたようだが、地震が来る前に落橋したのでは、無意味な工事であったと言わざるを得ない。また、月に1回、目視点検が実施されていたようだが、これについても漏水の有無は点検していたが構造的な視点での損傷については、何を見て良いのか分からず、確認していなかったのが本音だと思われる。

 インフラ整備に携わる技術者として、誰か気が付けなかったのか、似たような事例がこれからも出るのではないかなど、色々と考えさせられた。「荒廃するアメリカ」は、既に他国の事例では無いと改めて考えさせられた事故であった。

 

 普段の業務で橋梁設計を行う際に、発注者から「コンクリート橋」と「鋼橋」どちらが長持ちするのかと単純な質問をされる場合がある。

 鋼橋は、比較的容易に錆びる恐れがあり、部材の断面欠損や破断が生じやすい。その原因は、塩分を含む水の影響が大多数で、補修方法は、至ってシンプルに、削って防錆した後に、当て板等による断面補修となる。

 一方のコンクリート橋の場合は、構造的に致命傷となる損傷は少なく、軽微なひび割れや断面欠損が損傷の多くを占める。しかし、PC鋼材の腐食やASRが発生してしまうと、かなり重症になる。それら損傷の原因は、材料によるもの、施工によるもの、環境によるものなど、様々な要因により発生し、補修方法も、特殊材料による断面補修やASR対策としての亜硝酸リチウム注入、外ケーブルによる補強など、様々な対策が必要となる。

 若いころ、上司に言われた言葉で「鋼橋は、壊れやすいが壊れても直して使える」「コンクリート橋は、なかなか壊れないが壊れだすと大変」。まさにその通りである。

 先の問いに対して「どちらもメンテナンスしながら使用すれば、耐久性は変わらない」と回答している。

 これからは、メンテナンスの時代である。コンクリート診断士として日々、自己研鑽に励みたい。