温故知新「組立橋」

渡辺 弘子

 ウェブサイトのリニューアルに合わせて、今月から『会長の部屋』を『役員の部屋』に模様替えしました。役員12名が原則として自分の誕生月に、自分自身の1年の経時変化を振り返りつつ、周囲のコンクリート構造物に思いを寄せてつづります。スタートは「隗より始めよ」と私から。

 最近初めて「組立橋」というものを知りました。写真のような簡単なつくりの橋です。ドライブでちょっと足を延ばすと、農道に架かっているのを見かけたりしませんか。何気なく見ていたこういう橋に「組立橋」という正式名称(正確には商品名)があり、さらにきちんとした設計基準(設計荷重T-10など)があったことを知ったわけです。驚きでした。「別用途につくったコンクリート版を流用して橋にした」ものだと思っていたからです。例えていうなら、小川を渡るのに丸太や戸板を架けていたのと同じ発想で、時代が下がってそれがコンクリート板になったと思っていたのです。

 しかし、これはれっきとしたプレキャスト橋でした。橋脚、土止板、枕桁、橋板という必要最小限の部材で構成されており、それを現地で組み立てます。一番古い基準は1963年のようです(商品としては1952年頃から試作品を発売)。古いだけに傷んだ橋も多いのですが、部材も構造もシンプルなため必要な部分だけを工夫してなおせばまだまだ10年も20年も使えそうです。橋長2m程度の古い橋だと、今後の維持管理の容易さを考えてボックスカルバートへの架替えを考えてしまいがちですが、水の流れを止める・変えるとなるとそれはそれで大変です。

 最先端技術を集めた構造物も技術の発展のためには必要ですし、無用な維持管理費は抑える必要がありますが、その一方で、今あるものを大切にするために、工夫を凝らして廉価な補修費でなおして使うという考えも、可能性から外してはいけないと思いました。

 次は高橋さん、よろしくお願いいたします。

宮城県コンクリート診断士会

Miyagi Society of Concrete Diagnosis and Maintenance Engineers

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