スリランカでのコンクリート調査

西脇 智哉

 近年、いわゆる途上国でのコンクリート強度などを調査する機会をいただいており、2018年12月の今月、スリランカでの調査を実施してきました。アジア諸国は高密度な都市化が急速に進む一方で、RC建築物の耐震性能などは必ずしも十分ではありません。特に、建設からやや時間が経過したものは、技術水準が十分でない場合や、標準的な技術水準がない、参照されないまま建設された事例も数多くあるとのことです(植民地時代まで遡ると、宗主国の基準が使用されるなど、却ってよくなる場合もあるとも)。網羅的な耐震診断などが望ましい一方で、全数を端から行うのは難しいため、特に「酷い」建物を見つけて優先順位をつける必要があります。今回の調査は、簡便な非(微)破壊検査で極めてて低強度(10 MPa以下程度)なコンクリートを見つけ出す方法を確立する研究の一環です。

 すぐに思い当たるのはシュミットハンマーですが、より簡易、かつ、地産地消なコンクリートに対応できるよう、手のひらサイズのリバウンドハンマー(写真)など様々な検査機を持ち込んで試験を行ってきました。12月と相対的には気温が低いはずの季節ですが、連日35℃もあるような真夏の中、ビーチ!!(写真)を目の前にしながら、主には2004年のスマトラ島沖地震に伴う津波を被災し、その後は手のついていなかった建物(写真)を中心に、各種検査からコンクリートコア採取まで行ってきました。その結果は別途公表したいと思いますが、コンクリート材料そのものはそれほど変わらないと思わせる一方で、柱断面の標準寸法が225×225mmと驚くほど華奢(写真)だったり(5階建てくらいでもこの寸法のとのこと)、1960年代の建物とのことですが梁の主筋が途中で曲がっている(?)(写真)ものがあったり、建設現場では支保工が何に支えられているのかよく分からなかったり(写真)、コルビュジェの「ドミノシステム」(写真)を目の当たりにしたり、ホテルの部屋にはトカゲさんと相部屋だったり、そして、本場のスリランカカレー(写真)を毎日いただいたりと充実した調査旅行になりました。

 

 国が変わってもコンクリートは変わらないなという印象と、やっぱり材料も使い方も違うなという思いの両方がありましたが、今回の結果が国内の診断業務にも、より簡易な強度推定方法として活かせるように今後も検討していきたいと思います。

​​ 新年の来月は國吉幹事です。どうぞよろしくお願いいたします。

宮城県コンクリート診断士会

Miyagi Society of Concrete Diagnosis and Maintenance Engineers

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